踊るびあほりっく

―マイルとブラックカードに夢をみる。―

サラリーマンは絶対に知っておくべき確定拠出年金の勘所とおすすめの商品配分

確定拠出年金ってご存じですか?(突然)

この制度、個人事業主やフリーランサーはもちろんのこと、サラリーマンでも出来る最強の節税制度です。

f:id:mr-akogare:20160701230430j:plain

しかしこの制度、最強の節税方法でありながらもちゃんと理解して実践している方は非常に少ない印象です。本当にもったいない。マイラーをはじめとしたオトクなことが大好きな方は、是非とも確定拠出年金のことについてちゃんと知っていただきたいです!!

というより、「知っているとオトク」というレベルではなく「知らないこと自体が損」な税法上の仕組みですので、家計のことをちゃんと考えている人ほど深く理解する必要があります。

確定拠出年金とは何か、を先に一言で説明してしまうと「毎月一定金額を加入者口座に積み立てて老後に引き出す資産形成制度」なのですが、今回の記事ではこの確定拠出年金について、

  • 「全く知らない」
  • 「名前ぐらいは聞いたことがあるかも」
  • 「制度は知っているけどメリットがよくわからない」
  • 「会社になんか強制的に加入させられたけど、面倒だから放置している」

といった感じのいずれの方にも、確定拠出年金制度について理解して頂けるように1から基本的なことをやさしく解説出来ればと思います。

以後の解説では、確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)はDCと表記します(Defined Contribution Planの英略)。また確定拠出年金(DC)には「個人型DC」と「企業型DC」の2種類がありますが、前半では主に個人型DCについての解説になります。後半の方では、個人型DCと企業型DCの両方に共通的な解説になります。では、いってみましょう。

 

サラリーマンにも「経費」がある?!所得控除による節税の仕組み

個人事業主やフリーランサーが領収書を片手に「経費で落とすぜ!」と言っている姿をみて、ボンヤリと「いいなぁ」と思ったことありませんか?

実は、サラリーマンにも「経費で落とす」と似た概念や機会がちゃんとあることはご存じですか?。その機会のうちの一つが、確定拠出年金(DC)です。DCでは、毎月の預貯金積立による支出を「経費で落とす」と似た概念によって、所得税の支払を減らすこと(節税)が出来ます。

DCの「毎月の預貯金積立による支出を経費で落とす」とはいったいどういう意味かを説明する前に、まずは「経費で落とす」という言葉が持つ意味の本質を整理しましょう。

「経費で落とす」の本質は「課税所得を減らす」こと。

経費という日本語の定義はさておき、「経費で落とす」という言葉の本質は「課税所得を減らす」ということだと思います。個人事業主で言えば、収入金額に対する経費の割合が多ければ多いほど課税対象となる事業所得が減り、所得税の支払い額を減らすこと(節税)が出来ます。f:id:mr-akogare:20160705003441p:plain

経費が多ければ多いほど税金が少なくなる。実はこれ、サラリーマンにとっても全く同じことが言えます。サラリーマンの毎年の所得税額(=源泉徴収額)は、以下のような3ステップで計算されます。

  • Step1:給与収入(A)から給与所得控除を差し引き、給与所得(B)を算出
  • Step2:給与所得(B)から所得控除(C)を差し引き、課税所得を算出
  • Step3:課税所得に一定税率を乗算及び一定税額を差し引き、源泉徴収額(D)を算出

f:id:mr-akogare:20160702012847p:plain

No.2220 総合課税制度|所得税|国税庁

Step1の給与収入(A)は俗にいう年収のことですね。また「給与所得控除」は、サラリーマンが国から自動的に認められたサラリーマン用の経費のことです。これはサラリーマン生活に必要な身なりを整えるためのスーツ代や靴代、クリーニング代ぐらいに考えておけば大体OKです。この給与所得控除は、給与収入(A)の額に応じて勝手に計算されますので、自分では経費をどうこうする余地はありません。

Step2の所得控除(C)は、サラリーマン自身が計上できる経費の総額です。給与所得(B)に対する所得控除(C)の割合が多ければ多いほど、課税対象の所得が減り、Step3の源泉徴収額(D)である税金を減らすことが出来ます。

よく知られた所得控除(C)の種類の話をすれば、医療費がめちゃめちゃかかりすぎた場合はそれを経費として申告できるし(医療費控除)、専業主婦や子どもを養っていればそれも経費として申告できます(扶養控除)。

?

DCの積立金額は経費(所得控除)に計上できる!

少し話がそれましたが、本題です。

冒頭で述べた通り、DC(確定拠出年金)とは「毎月一定金額を加入者口座に積み立てて老後に引き出す資産形成制度」です。

「積み立てて引き出す」というところがなんか財形貯蓄制度ととても似ていますよね。ですが、税制面において財形貯蓄がDCに敵う面は何一つありません。DC(確定拠出年金)と財形貯蓄の違いを以下の表でまとめました。

  DC(確定拠出年金) 財形貯蓄
積立資金の課税扱い 口座に積み立てた資金分をその年の課税所得から差し引く(全額所得控除となり非課税 口座に積み立てた資金分はそのまま所得として課税される
積立資金の運用 口座に積み立てた資金は自分で運用する 口座に積み立てた資金は銀行が運用し、加入者に対して利息を還元する
運用益の課税扱い 口座に積み立てた資金で得た運用益や利息は限度額無しで非課税 口座に積み立てた資金残高が550万円以下であれば、還元される利息が非課税
積立資金の引出し 口座に積み立てた資金は60歳まで引き出せない 口座に積み立てた資金は所定の手続きによりいつでも引き出し(解約)が可能

財形貯蓄の非課税メリットはゴミ同然。

ご自身の勤め先の給与振込先の銀行から、

「財形貯蓄でつく利息は非課税でお得ですよ~。加入しませんか?」

という営業案内をしつこくもらったことはありませんか?

この財形貯蓄のメリットである「利息非課税」についてですが実は罠があって、非課税限度額である550万円のボーダーを積立資金残高が超えた場合、その瞬間から給付利息に対して税金が発生するようになります。

「じゃあ、549万円ギリギリで口座残高を維持すればいいんじゃないの?」思う方もいるかもしれません。しかしこのマイナス金利時代、どんなに優遇された金利でも良くてせいぜい年0.01%。549万円の財形貯蓄残高に対して発生する利息は549円/年になります。この549円の利息部分が非課税になるのだから、例えば年収500万円前後のサラリーマン(所得税率20%)であれば、財形貯蓄によって得する金額は100円程度の計算です。財形のメリットじゃ缶ジュースすら買えねーよ。笑

 

DCの非課税メリットはすごいです

対して、DCの非課税メリットはすごいです。まず、積み立てた金額分はその年の課税所得から全額所得控除されます。勤め先会社が後述の企業型DCを採用していない方の場合、毎月23,000円(年276,000円)を上限に個人型DC口座に積み立てられますが、これが全額非課税となります。上記の図で言うと、所得控除(C)の額がグンと増えます。

このメリットを分かりやすく説明するために誤解を恐れず表現すると、自分の老後の資金として積み立てた資金276,000円の部分が経費として国から認められ、その分だけ収入が減ったとみなされるのです。これが冒頭で述べた「預貯金を経費で落とす」の仕組みであり答えです。預貯金として積み立てているにも関わらず納める税金が減る、これが最強の節税法たる所以です。

DCの経費計上(所得控除)をサラリーマンが受ける際は、年末調整の際に「小規模企業共済等掛金控除」として「保険料控除申告書」の右下に積立金額を申告する必要があります。

f:id:mr-akogare:20160702022251j:plain

運用益が限度額無しで非課税となることも副次的なメリット

DCは口座に積み立てた資金を元金保証型の定期預金商品や、インデックスファンドなどの投資信託商品に変えて老後までずっと運用していくのですが、この間に発生した利息や運用益は限度額無しで非課税になることがDCの副次的な節税メリットとしてあげられます。

運用益が非課税というと今度はNISA(少額投資非課税制度)が引き合いに出せますが、あちらは「少額投資」の名前の通り非課税となる運用資金の限度額が120万円と非常に少額であり、かつ非課税期間が5年間に限定されることがデメリットです。

ただ、NISAでは投資信託商品以外にも特定の有価証券、つまり特定企業が発行する株式そのもの(例えばガンホー株とか?笑)を買うことが出来るので、DCには無い特色があります。一長一短。

将来の年金受取額が政治家や国策などに干渉されない

DCは公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)のような社会保障制度ではなく、自分が自分のためにだけに積み立てる、いわば「自分年金」です。国の少子化が進もうが、国の税収が落ちこもうが、将来の年金受け取り額は自分の運用結果にしか影響されず、『確定的に』に受け取ることができます。もし仮にDCで積み立てた資金を元金保証型の定期預金商品に変えていれば、将来の受取額の予測は高い精度で机上で計算できますため、将来設計の見通しがしやすいというメリットがあります。

DCに積み立てた資金は60歳まで引き出せないことが唯一のデメリット

DCにもデメリットと呼べる点が1点だけ存在します。それは、一度DC口座に繰り入れた資金は老後(60歳)まで現金として引き出すことは出来ないということです。

この点、財形貯蓄は積み立てた資金を解約して住宅ローンの頭金にしたり、子供の教育費のために取り崩したりといった現金化が可能ですが、DCではそれが一切出来ません。

60歳を迎える前に積み立てた資金を現金として受け取る方法は、以下の不幸があった場合を除いて、一切存在しません。

  • 加入者が死亡する(遺族年金として遺族が現金を受け取る)
  • 障害者手帳が発給されるような重度障害を加入者が負う(障害者年金として本人が現金を受け取る)

自分のお金なのにどうあがいても引き出せない(=資金が老後まで拘束される)というのは、キャッシュフローの観点から言ってデメリットであることは間違いありません。しかし、手を付けてはいけない老後の資金を他人からも国からも、そして他ならぬ自分からも守れるというのは、これもまた逆にメリットと言えるかもしれません。

 

DCがおすすめできない人

DCのメリット・デメリットについてはご理解いただけたでしょうか?

もし理解できたのであれば、すぐにでもDC口座の開設をしたくなったのではないでしょうか。その判断は正しく、早ければ早いほど税制上のメリットは大きいです。そういう意味で言うと、サラリーマンの中では新入社員がもっともこの税制のメリットを享受できます。ただ、逆にDCをお勧めできない人もいます。

ローンを組んでいる人

ローンを組んでいる人はDC口座に加入してお金を積み立てるよりも、そのお金を繰り上げ返済に優先して充てた方が得られる経済的利益は大きいです。

DCの運用で年2%の利回りで増やそうとするより、年2%以上で増えていくローンの支払利息を減らすほうが効果として確実だから、というのも理由ですし、もし住宅ローン減税で税金の還付を全額受けている場合は、DCの積立金額分の全額所得控除のメリットが受けられないためです。

専業主婦・無職

差し引くべき所得が無いため、所得控除のメリットは受けられません。専業主婦はDCをやるだけ、ほぼ無駄だと思います(運用益非課税のメリットだけでDC口座を解説するのはかなり微妙)。

DCの口座開設はどこできる?

メリットは十分にわかった。でも、口座開設ってどこでやればいいか分からないですよね。銀行はNISA推しばっかりでDCなんて全然宣伝してないし。そんな時に参考になるサイトが以下の「個人型確定拠出年金ナビ」です。DCを取り扱っている金融機関をほぼすべてラインナップしており、口座の新規開設や口座維持に必要な費用がまとまっています。

手数料を調べる|個人型確定拠出年金ナビ

「…えっ口座維持費用?!DC口座ってお金かかるの?!じゃあやめた!!」

と考えるのは早計です。それ以上に大きい節税効果を無視してはいけません。

口座維持費は高くてもせいぜい年5,000円前後であり、年末調整の時期に還付される金額は積み立て金額に応じて数万円にもなります。これこそ、損して得取れのことわざの典型です。目先のコストにビビってはいけません。

もし、どうしてもDCのコストが気になる場合は、下でおすすめとして紹介するような条件付きで口座維持費を無料に金融機関もありますので、参考にしてください。

DCの口座開設はどこがおすすめ?

2016年7月現在、私がおすすめするDC取り扱い金融機関は以下の通りです。

DCはとにかく安く!コストは最小限に!という方はSBI証券がおすすめ

DC口座の開設と維持にかかる費用を最小限にしたい方は、SBI証券かチョイスしましょう。2017年現在、資産残高が50万円以上で口座維持費が0円と、DC口座の管理コストとしては最安値です(資産残高50万円未満の場合は月額324円ですが、やはり比較的低コスト)。

積極的に資産を増やしにいきたい!!という方は野村証券がおすすめ

DCの副次的メリットである運用益非課税を最大限に享受するためにも、積極的に投資信託で資産を増やしていきたい!という方は、野村證券がおすすめです。運用成績はもちろんのこと、株式と債券の信託報酬(運用中の金融機関取り分となる報酬)が低めに抑えられていて、長期の運用に適しているといえます。

その他確定拠出年金を扱う金融機関はたくさんありますが、その他の選択肢をいろいろと検討してみたい方は以下の記事が参考になります。

企業型DCと個人型DCの違いは?

さて、ここで話をまた少しそらします。上記でおすすめしたDC取り扱い金融機関は、まだDCに未加入でこれからDCに加入を検討しようとする方向けの解説であり、「個人型」と呼ばれる種別のDCについてのお話でした。

しかし人によっては、既に勤め先会社で確定拠出年金に加入させられているという方もいると思います。これは、「企業型」と呼ばれるDCとなります。企業型DCと個人型DCとは何が違うのでしょう?

企業型DCは退職金制度の一つの形

企業型DCと個人型DCの大きな違いは、「誰がお金を出すか」です。

個人型DCは老後の預貯金として加入者自身がDC口座に資金を積み立てるのに対し、企業型DCは勤め先の会社が退職金としてDC口座に資金を積み立てるのというのが大きな違いです。

従業員拠出(マッチング拠出)はするべき?

企業型DC加入者の勤め先会社によっては、従業員拠出(マッチング拠出)制度を採用しているところがあるかもしれません。マッチング拠出とは、会社が積み立てる掛金の額を上回らない金額かつ会社掛け金との合算が27,500円(または55,000円)を超えない範囲で、加入者である従業員自らも積立金を拠出できる制度です。

結論から言うと、マッチング拠出はするべきだと思います。個人型DCと同じように、所得控除額を増やして節税しつつも、老後の資産を積み立てることが出来るからです。節税効果を高くするためにも限度額いっぱいまでマッチング拠出をすることをおすすめします。

なお注意事項ですが、2017年現在マッチング拠出制度を採用している企業に勤める方は、個人型DCに加入することができません。

DCの商品配分のおすすめは?

さて、ここからは個人型DCに加入しようとする方にも、既に企業型DCに加入済みの方にも共通した内容になります。

DCで積み立てた資金は金融商品に変えて運用していくことになりますが、商品配分についてが一番の悩みどころだと思います。先に結論を言ってしまうと、商品配分に正解はありません。また、DC加入者のリスクテイクポリシーによっておすすめする商品配分は変わってきます。

ちなみに私のおすすめというか、私の実際のポートフォリオ(配分)は、以下のとおりです。運用益非課税の税制メリットを受けるため、先進国株式を加えています。

  • 国内株式(インデックス):10%
  • 外国株式(インデックス):30%
  • 外国債券(インデックス):30%
  • 先進国株式(インデックス):30%

ただ、商品配分に正解は無いといったものの、商品選択については共通的に言えることが一点だけあります。

投資信託商品はインデックスファンド一択。アクティブファンドに手を出しちゃダメ

投資信託商品には大きく「インデックスファンド」と「アクティブファンド 」の2種類がありますが、アクティブファンドはおすすめできません。

アクティブファンドをおすすめできない大きな理由は、信託報酬が高く、短期的にはインデックスファンドを上回る可能性があるものの、長期的な目で見て良い運用実績を残すことが出来ないためです。この辺りの理由は以下のURLが参考になります。

アクティブファンドとインデックスファンドの違い

確定拠出年金ではインデックスファンドを買いましょう │ 確定拠出年金の基礎知識