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踊るびあほりっく

―マイルとブラックカードに夢をみる。―

SFC修行とはいったい何なのか。

2017年5月1日 更新

※日本経済新聞社様から当ブログに取材依頼をいただきました詳しくはこちら)。

SFC修行(えすえふしーしゅぎょう)って、聞いたことありますか?航空関連の情報について調べものをしていると、ふとこの言葉を耳にする機会もあるかと思います。

SFC修行、それは航空サービスに価値を見出した大人のフライト遊び。

今回の記事では、「SFC修行とはなにか?」を解説できればと思います。

 

JALやANA等の航空会社には「上級会員」という制度がある

「飛行機にまったく乗ったことがない」という方は今や非常に少ない時代かと思いますが、仮にそんな方がいらっしゃったとしても、日本航空(以下、JAL)全日空(以下、ANA)といった会社の名前は聞いたことぐらいはあるのではないでしょうか。いずれも日本を代表する2大航空会社ですよね。

上記で名前をあげた航空会社は、いずれもちょっとおもしろい制度をお客様に対して用意しているのはご存知でしょうか?

それは、自社便を頻繁に利用してくれるお客様は、たまにしか自社便を利用しないお客様と比較して優遇するという、いわゆる「上級会員」という制度です。

 

こうした上級会員の制度は、JALでは「JAL MILEAGE BANK」と呼ばれ、ANAでは「プレミアムメンバーサービス」と呼ばれます。

 

JALの上級会員制度(JAL MILEAGE BANK)

 

ANAの上級会員制度(プレミアムメンバーサービス)

航空会社の上級会員になるとここが嬉しい!その優遇の内容とは?

上級会員は上級会員でないお客様より優遇されると上で述べましたが、具体的に上級会員になるとお客様にはどんなメリットがあるのでしょうか?

上記の航空会社2社のいずれにも共通して存在する「上級会員の優遇内容」について以下に列挙してみたいと思います。

  • 満席時の空席待ち状態であっても優先して取り扱ってもらえる。
  • チェックイン時に上位グレードの座席に空席があれば無料でアップグレードできる(エコノミー→プレミアムエコノミー)。
  • 手荷物預かり所や保安検査場は上級会員専用の場所が提供されるため並ばなくて良い。
  • 離陸までの待ち時間のあいだは航空会社が自社運営する高級ラウンジを無料利用できる
  • 優先搭乗をさせてもらえ荷物入れ(オーバーヘッドコンパートメント)の奪い合いに勝てる。
  • 出発時に預け荷物が合った場合、バゲージクレームのベルトコンベアで真っ先に荷物が運ばれてくる。
  • マイレージプログラムのボーナスマイルが数十%加算される。

などがあります。

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△航空会社であるANAが自社運営するラウンジ(国際線)です。このANAラウンジでは写真にあるような軽食が食べ放題ですし、お酒もジャブジャブ飲み放題です。一般的なゴールドカードで入室できるちんけな乗り合いラウンジなんかとは本当に全然違います。。。

優遇内容はまだまだあげればキリがありませんが、どれも旅のストレスを大幅に軽減してくれるものであったり、フライトをよりお得にしてくれるようなものであったりする優遇ばかりですよね。

普段、LCC(ローコストキャリア)できついフライトをしている方であれば、上記の優遇はいずれも垂涎ものだと思います。

 

航空会社の上級会員にはどうすればなれるのか?

上級会員の優遇内容には興味が湧きましたでしょうか?湧きましたよね?

興味が湧いたら次は、「どうすれば航空会社の上級会員になれるのか?」についてを書きたいと思います。冒頭の説明では「自社便を頻繁に利用してくれるお客様」を上級会員として優遇すると既に述べましたが、このあたりをもう少し詳しく。

 

JALやANAには、フライトの距離にしたがって積算されるポイントがあります。

「知ってるよ!それってマイルのことでしょ?」

と思った方もいるかもしれません。

 

しかし今回話題にあげるのは、皆様がよくご存知であるフライトマイルではありません。航空会社の上級会員になるためには、フライトマイルとはまた別に積算されるポイントが必要になります。この「上級会員になるために必要なマイルとは違う別のポイント」のことを、JALはフライオンポイント(FOP)ANAはプレミアムポイント(PP)と呼びます。

 

JALの上級会員になるためのポイント(FOP)

JALマイレージバンク - FLY ON プログラムとは

 

ANAの上級会員になるためのポイント(PP)

 

これらポイントを30,000~100,000ポイント分頑張って貯めることによって、各航空会社の上級会員の資格を得ることが出来るようになります。

参考までに上記で列挙した上級会員の優遇内容をすべて受けるためには、いずれの航空会社でも50,000ポイントほどが必要となってきます。

上級会員制度の最大の問題点

「航空会社の上級会員になるためにはマイルとはまた別のポイントをコツコツためればいいのね!なんだかメリットも多そうだし、私もこれからはフライトは1社にのみ絞って上級会員を目指したい♪」と思っていただいた方はどれぐらいいるでしょうか。

そんな方には残念なお知らせですが、ここで航空会社の上級会員制度の最大の問題点をお伝えしなければなりません。それも、2つも。

 

ひとつめは、上級会員資格を得るためには1月~12月のたった1年間で規程数ポイントまで到達させなければいけない(年をまたげない)ということ。

 

ふたつめは、上級会員資格の有効期間はポイントが到達した年の翌年度1年間だけということ。

順に見ていきましょう。

上級会員資格を得るためには1月1日~12月31日の1年間で規程数ポイントに到達させなければいけない(年をまたげない)

上級会員用のポイント(JALならフライオンポイント、ANAならプレミアムポイント)には、なんと有効期限が定められています。

セゾンの永久不滅ポイントのよう無期限なんかではなく、上級会員用のポイントの有効期限は、ポイントを獲得した年の12月31日までと非常に短い翌年1月1日の元旦には0ポイントまでリセットされてしまうのです。

例えばですが、2017年に30,000ポイント、2018年に20,000ポイントで計50,000ポイント!というように、「複数年の長い時間をかけて上級会員資格を得る」ということは出来ないような仕組みになっています。

上級会員資格の有効期間はポイントが規程数に到達した年の翌年度1年間だけ

1月1日~12月31日の1年間のあいだにポイントが規程数に到達し、晴れて上級会員資格を得たとしても、その資格にもなんと有効期限があります。

上級会員資格の有効期限は、ポイントが規定数に到達した年の翌年度1年間(4月1日~翌3月31日まで)だけと、これまた非常に短いです。

つまり、「一生に1度だけたくさん飛行機に乗って、あとは生涯に渡って上級会員の資格を保持し続ける」ということは出来ないような仕組みになっています。

SFC修行という奇行が上級会員資格の最大の問題点を解決する

たった1年間でポイントを規定数まで達しなければならない&1年間しか上級会員の資格は適用されない。

そうなると「じゃあ別に上級会員目指さなくていいかな」という気になってしまいそうですが、ちょっと待ってください。

 

あるんです。

 

 

SFC修行という「奥の手」が。

 

 

※JALにも「JGC修行」というものがあるのですが、本記事では割愛します。

SFCとはなにか?

「SFC」とは、Super Flyers Card(スーパーフライヤーズカード)の略称で、ANAと提携するクレジットカード会社(三井住友VISASカード等)が発行するクレジットカードのことを指します。

このクレジットカードは個人で発行しようとする際、通常のクレジットカードと同様にローンの借り入れ状況や年収等の信用の審査項目に加えて、あるひとつの審査項目がつけ加えられます。

それは、ANAの上級会員資格(プラチナ以上)を持っているかどうかということ。発行申請時において、ANAの上級会員資格を持っていないと発行が許されないのです。

上級会員資格を持っている期間であればいつでもSFCは発行申請が可能であり、もし発行後に上級会員資格を喪失したとしても、カードは継続して保有することが可能です。あくまで「発行申請時」においてのみ上級会員が必要というものになります。

 

SFCのクレジットカードにどんなメリットがあるのか?

なぜこのSFCの話を急に出したかというと、SFCにはすんごいメリットがあるからです。

それは、このSFCの所有者(カードホルダー)には、上級会員とほぼ同等の優遇が与えられるということ。

座席のアップグレードも、空席待ち優先取り扱いも、高級ラウンジ利用も、優先搭乗も。ほぼみんなすべて。

SFCはカード年会費さえ払っていれば、際限なく保有し続けられます。つまり年会費を払っている間は、上級会員とほぼ同等の優遇を受けられるのです。

前の節では出来ないと述べた「一生に1度だけたくさん飛行機に乗って、あとは生涯に渡って上級会員の資格を保持し続ける」ことを可能としてしまう唯一無二の魔法のクレジットカードなのです。

ここがやばいよSFC(いい意味で)

飛行機に乗らない間でも上級会員相当のステータスを永年保持してくれるというだけでもものすごいメリットのあるSFCですが、SFCのその凄みは家族カードにあります

SFC本会員の家族であれば「家族カード」というものを追加で発行できるのですが、このドラえもんで言うとスペアポケット的な家族カードに対しても、上級会員相当の優遇権が付与されます。

例えば、SFCには同行者1名までANAラウンジ(お酒飲み放題の素晴らしい空間)の利用が無料という特典がありますが、家族カードをお持ちの奥様がもしいれば同等の特典が得られるため、本会員1名+家族会員1名+同行者2名の計4名までがラウンジに入室できる事になります。「パパだけラウンジ利用ずるい!」という家族旅行を避けることができます。

また、家族カードに付与される優遇権は本会員がいなくても利用できます。なので上記の例で言うと、奥様がかつてのご学友と個人旅行に行く際にも優遇権を使えますし、万が一の不倫旅行でもちゃんと同行者をANAラウンジに入室させることができます(証拠が残るので後者はおすすめしませんが)。

SFC修行とは?

さてここからが本題ですが、冒頭で述べたSFC修行とは一体何なのか?ということについて、いよいよ切り込んでいきたいと思います。

SFC修行とは、こうしたSFCの圧倒的な優遇権やステータス欲しさに1年間でプレミアムポイントを規程額まで貯めようとすることを指し、そのような行為を実際にしている者のことを通称「SFC修行僧」と呼びます。

SFC修行僧と呼ばれる者の多くは、いかに効率的に上級会員になるためのプレミアムポイントを貯めるか?ということを第一の行動原理としているため、傍から見れば異常とも思えるようなフライト(1日に羽田~那覇間を2往復するなど)を平気で敢行します。このある種の過酷さが"修行"と呼ばれる所以です。

一般的にいって長距離路線になればなるほど効率的にプレミアムポイントを積算することが出来るため、那覇空港に行ったことのないSFC修行僧はまずいないという現象が起きます(私も現在修行中の身ですが、那覇空港には何回お世話になったことか)。

プレミアムポイントの効率的な獲得に向けて常軌を逸したフライトスケジュールを日夜を研究をするアホな方(id:tsumehiromikobo)もいるのでそちらも参考にしていただけると幸いです。

初日

①NH89 羽田→石垣 0610−0905 4072PP
②NH90 石垣→羽田 1130−1425 4072PP
③NH477 羽田→那覇 1555−1820 3352PP
④NH476 那覇→羽田 1915−2140 3352PP
⑤NH999 羽田→那覇 2255−2540 3352PP
⑥NH1000 那覇→羽田 0330−0550 3352PP

2日目

⑦NH87 羽田→宮古 1140−1430 3874PP
⑧NH88 宮古→羽田 1525−1815 3874PP

3日目

⑨NH89 羽田→石垣 0610−0905 4072PP
⑩NH90 石垣→羽田 1130−1425 4072PP
⑪NH477 羽田→那覇 1555−1820 3352PP
⑫NH476 那覇→羽田 1915−2140 3352PP
⑬NH999 羽田→那覇 2255−2540 3352PP
⑭NH1000 那覇→羽田 2730−2950 3352PP 計50852PP

△うん、アホだね(確信)

すべてはプレミアムポイント、そして上級会員資格のため。今日もSFC修行僧は元気に那覇空港へ向かいます。

SFC修行のゴールは?「解脱」ってなに?

SFC修行のゴールはずばりSFCの発行権を持つ上級会員(プラチナステータス)になることにあるので、1年間で通算50,000プレミアムポイントを積算することになります。

ちなみにこのSFC修行のゴールは、「修行」という辛く険しい語感に対応して仏教用語でもある解脱(げだつ)と呼んだりします。仏教信者に謝れ。

SFC修行にかかるコストは?

SFC修行は上述の通り50,000プレミアムポイントを積算することで終了を迎えますが、この時のコストはいったいいくらぐらいになるのでしょうか。気になりますよね。

1プレミアムポイントを得るために要した金額をのことを一般的にPP単価(ぴーぴーたんか)と呼びますが、PP単価は10円/PPを下回ってくると資金効率が良いという定説が有ります。ということはつまり、SFC修行にかかる費用は一般的に概ね50万円前後であるということになります

この50万円に一生ものの価値とロマンを感じるかが、SFC修行僧へなるための素質であるということができそうです。

コスト0円でSFC修行をする人が最近増えている

SFC修行にかかる費用は一般的に50万円前後と先程書きましたが、それはあくまで現金で航空券を購入し修行に身を投じた場合の金額です。しかし2016年現在のトレンドは、お金を一銭もかけずにSFC修行することにあります

というのも、飛行機に乗らずして陸地でマイルを貯める人達のことをネットスラングで陸マイラー(おかまいらー)と呼ぶのですが、この陸マイラー達を中心に陸地でコツコツ稼いだマイルを使って0円でSFC修行をするというのがいま非常にブームになっています。

かくいう私も実は陸マイラー兼SFC修行僧でして、マイルは唸るほどあるのでSFC修行のフライト費用に関しては1円も発生しておりません。

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まとめ(SFC修行をやる価値はあるのか?)

本記事では、航空会社における上級会員制度の優遇内容と、その優遇の権利を永続的に保有しようとするために常軌を逸したフライトをするSFC修行について主に解説いたしました。

記事の執筆時点において私はSFC解脱(50,000PP到達)をまだしていないのですが、こうした優遇・特典目当てのアホなフライトを繰り返していると、家族や友人等周りから「それって50万円をかけるだけの価値はあるの?」と、純粋な質問をされることがあります。

正直に言ってしまうと、会社のお金でフライトが出来る出張族は別として、個人のポケットマネーで50万円もの自腹きるほどのメリットはSFC修行に無いと思います。冷静に考えて。自分も上記の大量保有マイルが無ければSFC修行に身を投じることは無かった思います。

ただなんていうか、SFC修行はいったん始めてしまうと、メリットや50万円の価値うんぬんの前にとても楽しいのです。はじめはやっぱり優遇のメリット目当てでみんな始めるんですが、次第に飛行機に乗ること自体の楽しさに目覚めはじめてしまい、いつしか年間50万円の趣味として感じるようになります。

ゴルフやスキューバダイビングの趣味に年間50万円をかける人もいる、それが自分はたまたま飛行機だったのだ…

 そう自分に言い聞かせながら、多くの修行僧は飛行機に乗るようになるのです。ちなみに私からすれば棒っきれで小さい球を広大な敷地に飛ばすゴルフなんて一見無駄な行為そのものにしか感じないのですが、その人が「趣味」だと言う以上、それは無駄なものではないのです。

そんなわけで以下の名言をもって筆を置かせてもらいます。

 「人生に無駄なことなどない。無駄だと判断する人がいるだけだ」

jikishi(1978~)

SFC(スーパーフライヤーズカード)とSFC修行について解説 - いつか連れてくよオアフ島

日経新聞に取材されました。

日経新聞社記者様より当ブログに取材依頼を頂きました。

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福島様の記事は以下のリンクから(日経電子版)

△あまり修行感がないの残念。。。

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